LiFE.004 「すきなことを仕事に」須方紀光

埼玉県深谷市にある、旧七ッ梅酒造の歴史的建造物の1つである釜屋前室を、そのまま利用した古本屋「須方書店」を運営される須方紀光さん。

全国の魅力的な本屋さんを紹介する「全国 旅をしてでも行きたい街の本屋さん」にも、埼玉県で唯一掲載されたとっても雰囲気の良い本屋さんです。

そんな、生涯を費やしたいと思える「本屋」という仕事に巡り会った、ひとつのLiFEにインタビューさせていただきました。

(取材/ライター柿沼博基)

須方書店が生まれるきっかけ

ライター柿沼ライター柿沼

「本日は宜しくお願いします。いやぁ、この沢山の古書達と、建物の歴史感、なんだかすごく味があっていいですね、須方書店をはじめられて何年ぐらいなんですか?」

須方さん須方さん

「はじまったのが、正確に言うと、2012年3月17日ですね。その時の店名が「円の庭」という名前で、その時は僕と入江さんという方と一緒にはじめて、2014年の7月ぐらいに「須方書店」に店名を変えて、引き継いだ形なので6年目ですね。」

ライター柿沼ライター柿沼

「入江さん・・・、もしかして映画監督のですか?」

須方さん須方さん

「映画監督の入江悠さんのお父さんの、入江明さんですね。」

ライター柿沼ライター柿沼

「おー、すごい、映画好きなのでちょっといま鳥肌でした。どういったつながりで、入江さんと一緒にやろうということになったのですか?」

須方書店

須方さん須方さん

「僕も映画は好きですね。実は、中学1年生の時に不登校というか、登校拒否していたんですよ。」

ライター柿沼ライター柿沼

「へぇ、不登校。」

須方さん須方さん

「その頃から、すでに映画や本が好きで、「家にこもってちゃあれだから・・・。」ということで、16歳の時に知り合いの伝手で、深谷シネマの竹石館長を紹介されて、映画館でボタンティアをやりはじめました。」

ライター柿沼ライター柿沼

「ほぉぅ、深谷シネマで。」

須方さん須方さん

「その流れで、18歳の時に入江さんと出会って、一緒にやろうとお話し頂いて、今に至ります。」

不登校だった青春時代

ライター柿沼ライター柿沼

「その18歳の時に入江さんに出会うまでは、学校に通わず、ボランティアのみをやっていたのですか?」

須方さん須方さん

「そうですね、週に1度、日曜日に深谷シネマのボランティア行って、それ以外の日は図書館行って本を借りて読んだりしてましたね。それと、当時スクールカウンセラーの先生がいて、それに週3日行けば出席扱いにするって事だったので、教室行かないで1~2時間行ってました。」

ライター柿沼ライター柿沼

「その、なにか不登校になるきっかけみたいなものはあるんですか?よくあるイジメ的なとか・・・。」

須方さん須方さん

「正直、きっかけが無いですね。自分が分析ができてない部分はありますけど、これといった理由が無いんですよね。特にイジメなどもなく、うまく言えないんですけど、味をしめちゃったというか・・・。」

ライター柿沼ライター柿沼

「ズル休みしたりしてたら、どんどん面倒になって・・・みたいなことでしょうか?」

須方さん須方さん

「そうなんですよ、何ヶ月も行かないと、行きにくくなっちゃって。なんか、そこが一つの後悔というか、もっとカッコイイ理由があったらよかったなぁと・・・(笑)」

深谷市の須方書店

ライター柿沼ライター柿沼

「カッコイイ理由・・・それ、すごいわかります、その気持ち(笑)実は、僕もまったく同じような感じの青春時代を過ごしていて(笑)いやー、奇遇だなぁと。」

須方さん須方さん

「あっそうなんですか!?(笑)」

ライター柿沼ライター柿沼

「そうです、そうです。いやー、本当に似すぎててビックリしました(笑)僕は昔から運だけはよかったので、色々な場所で出会い・経験に遭遇して、今はどうにか人間のモノマネできるようになりましたが。須方さんも、竹石さん、入江さんとの出会い、良縁に恵まれていますね。」

須方さん須方さん

「本当にそうですね、それがなかったら、今も引き篭もってるかもですね(笑)」

ライター柿沼ライター柿沼

「どちらも結構な年の差がありますが、最初は緊張されたりしたんですか?」

須方さん須方さん

「そうですね、年の差もありますし、当時の僕は人と全然喋ってなかったですね、まち遺し深谷の役員もしていた、社交的な入江さんに嫉妬をおぼえたり(笑)」

ライター柿沼ライター柿沼

「嫉妬!?(笑)」

須方さん須方さん

「俺これできないなと(笑)」

ライター柿沼ライター柿沼

「なるほど、本屋さんですと、接客の要素があると思うんですが、苦手意識はあるのですか?」

須方さん須方さん

「元々は人と喋るのは得意ではなかったたんですけど。「本」を通して人と喋ってるうちに、今はお客様との会話を楽しめるようになりましたね。あとは今考えると、入江さんが色々と工夫して接してくれてたのかなと思います。」

ライター柿沼ライター柿沼

「工夫してといいますと?」

須方さん須方さん

「入江さんに一緒にやらないかと誘われた時に、「じゃまずは神田にいかないとね。」と言われたんですね。あっそうですねと話をして、「じゃ連絡先を教えるから電話してきて。」って言われたんですよね。僕があの時に電話していなかったら、今はないかなと思います。入江さんは「じゃ一緒に行こう。」って手をひかないんです、そこで相手に委ねるんです。」

ライター柿沼ライター柿沼

「おー、かっこいい。」

須方さん須方さん

「その当時は、全然喋れないですし、電話なんてもってのほかなんですね。しかも、入江さんは初対面は怖いおじさんでしたから・・・(笑)今、思うとそうですね、そこで僕、勇気をだして電話して、この日あいてるんでどうですかと。」

ライター柿沼ライター柿沼

「すごい、ちゃんと試練みたいなものを設けて、一歩踏み出すという・・・、入江さん大人ですね。」

須方書店

働くということ

ライター柿沼ライター柿沼

「紆余曲折あった青春時代を経て、入江さんからの幾多の試練を乗り越えて、今こういったお仕事をされていて、やってく上で大事にしてることはありますか?」

須方さん須方さん

「好きな事をやろうって感じですかね。」

ライター柿沼ライター柿沼

「好きな事をできるって、ある意味、特権ですよね、いいなー。最近、色々インタビューさせて頂いていて、「やれること」と「好きなこと」がイコールになってる人って、キラキラしてるんですよね。」

須方さん須方さん

「ただ、本屋は大変で、都内とかだと夜はコールセンターの仕事をしながら本屋やってるって人も結構いますね。」

ライター柿沼ライター柿沼

「都内だと家賃とかすごそうですね、経費が多い分それだけ売上がないと厳しいですよね・・・。なんというか、お金儲けではないってことですよね、本が好きっていう。」

須方さん須方さん

「その方は、その本屋をやりたいが為にそういった生活をされていますが、多分それを苦には思ってらっしゃらないんでしょうね。僕もそんなにすごく儲けている訳ではないのですが、最近思うのはハードル下げてけば、普通の人が普通に思うことが、すげぇハッピーに思えるって感覚はありますね。」

ライター柿沼ライター柿沼

「たしかに、というか「普通」って今、結構ハードですよね。僕もどうにか「普通」になろうと頑張ってますが、次から次にお金がかかるし、親ってすごいなぁ、感謝だなぁと最近思います。その上、色々と余計な迷惑をかけてますし。」

須方さん須方さん

「そうですね。それは僕も思いますね。」

須方書店

須方書店の未来

ライター柿沼ライター柿沼

「なんだか、ちょっとしんみりしちゃた感あるので。ちょっとテンション上げて、最後に須方書店の展望をお聞かせください!」

須方さん須方さん

「やっぱり、理想としては生涯続けていきたいですね。ま、場所を変えるかもですけど。」

ライター柿沼ライター柿沼

「移転される可能性もあるのですか?」

須方さん須方さん

「土地の問題等もありますし、あと建物も大正時代の古いものですから。」

ライター柿沼ライター柿沼

「もし移動するのであれば、深谷市内でですか?」

須方さん須方さん

「そうですね深谷でやりたいですね。あと、お店をやっていて楽しい部分は、一つ自己満足の部分が大きいんですよね、すごく嬉しい。それを、どう周りに還元するかというか、何か一つもうちょっと、本屋としての公共性を高めたいというのはありますね。」

ライター柿沼ライター柿沼

「なるほど、何かアイデアはあるのですか?」

須方さん須方さん

「んー、正直、ないです。まだ試行錯誤中です!(笑)ただ、最近「全国 旅をしてでも行きたい街の本屋さん」という、全国の本屋さんを紹介する本に掲載していただいたので、少しづつ広がっていければいいなと思います。」

ライター柿沼ライター柿沼

「えー、すごいじゃないですか、その本はどこで買えるんですか?」

須方さん須方さん

「普通にお近くの書店でも取り扱っていると思いますし、うちにも置いてあります、こちらですね。」

全国 旅をしてでも行きたい街の本屋さん

全国 旅をしてでも行きたい街の本屋さん

[本の内容]
北海道から沖縄まで、日本全国にある個性豊かな“街の本屋さん”150店以上を紹介。著者は各地の書店に詳しい方々が担当し、すべてのお店の外観写真を掲載し、最寄りの駅は「出口」まで紹介。 実際に持ち歩くことを想定し、より実用的な工夫されています。
[著者]
荒井宏明、 和気正幸、佐藤実紀代、イソナガアキコ、田端慶子、 アイデアにんべん、ユニットことり会。
[その他]
出版社:ジービー
発売日:2018/8/21

ライター柿沼ライター柿沼

「わー、オシャレな本屋さんがいっぱい!しかも埼玉で唯一の掲載じゃないっすか!すご!」

須方さん須方さん

「僕も嬉しかったです。」

ライター柿沼ライター柿沼

「これから、どんどんご活躍される事を期待していますね。さらに有名になっても邪険にしないでくださいね(笑)本日は、インタビューありがとうございました。また、本買いにきますね。」

須方さん須方さん

「はい、いつでもお待ちしています。」

取材・文/柿沼博基
撮影/柿沼博基
古書・古本 須方書店
須方書店
営業時間
11:00~18:00(夏)
11:00~17:00(冬)
定休日:火曜日
住所
〒366-0825 埼玉県深谷市深谷町9-12
七ッ梅酒造跡地 深谷シネマ同敷地内
お問い合わせ
080-3121-1851
ホームページ
須方書店HP

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