「答えを出す」ママ日和

答えを出す
小学校で、これまで通常学級に入っていた息子。新年度からは、特別支援学級に入ることにした。その決断をするまで、正直とても悩み、そして迷った。
入学から一年間を通常学級で過ごし、今のままでは少し大変であろう部分が見えてきてはいた。けれど、幸い理解ある先生に恵まれ、息子は苦手なところも良いところもそれぞれに認められながら、学校生活を送ってきた。良いところを伸ばしてもらい、苦手なところをサポートしてもらいながら、ほとんど欠席もすることなく、学校に通えた。

新しい環境に慣れるのが、人一倍時間のかかる息子。失敗やうまくいかないことがたくさんありながらも、様々な経験を一つずつ積んできたのだと思う。
次年度が近づき、このまま通常学級の中でやっていくことが難しいと分かっても、それでもなお、息子にとって本当に良いのはどうすることなのか、迷い、決断ができずに私は葛藤していた。
やっと慣れた環境から、通常学級とは異なる支援学級へ?
それとも、今のまま?
いや、学年が上がれば、全てが今のままというわけにもいかない。
息子自身の気持ちもはっきりしなかった。これからをどうしたいか、息子に尋ねても、「今のまま、お友だちの多いクラスで過ごしたい」と言う時もあれば、「少ない人数のクラスがいい」と言うこともあった。
息子はまだ一年生。大人の私だってどうしたら良いのか分からないことなのに、息子にそれを決めてもらうというのは、まだ難しいことだろうとも感じた。
これが自分自身の問題ならば、ある程度割り切れるのかもしれない。けれど、子どもの人生に関係することだと思うと、私は必要以上に決断をすることに臆病になっていた。

そこで、学校の先生方に相談をしたところ、私の不安や疑問に対して、きめ細やかなお話を聞かせてもらうことができた。その中で、支援学級の体験を息子がさせてもらえることにもなった。担任の先生だけでなく、支援学級の先生や、普段から息子をサポートして下さっている先生が、息子が自分から体験してみたいという気持ちになるよう、うまく繋げてくださった。それと同時に、通常学級と支援学級の違いについて、息子の大好きな電車を例えに使いながら、分かりやすく本人へと伝えて下さった。

その後、実際に体験した息子から出た言葉は、「来年から(支援学級に)行きたい!」というものだった。
息子本人の思いがこもった言葉というのは、大きくて重みのあるものだった。私の心は、一気に支援学級へと向いた。そう、子どもの方がしっかりしていた。初めてのことに戸惑っていたのは、むしろ私の方だったのかもしれない。変化への不安。失敗への恐れ。
けれど、体験した上で、息子が新しい環境を希望している。それならば、その希望がうまくいくようサポートしたいと思った。家族みんなも、同じ思いだった。
絶対にうまくいくという保証はないかもしれない。でも、それは今回の問題に限らず、ほかのことにも言える。
ただ、その問いにしっかり向き合えたかどうか。初めから「これ」という正解はない問題の中で、悩んで迷って揺れて、その結果一生懸命決めた答えなら、胸を張っていい。家族みんなが前を向ける気持ちになっている――それが大事なのかもしれない。

学校の先生方に、我が家の希望を伝えるとき、少し前まであんなにも葛藤していた私の気持ちは、とてもすっきりとしていた。それに、その時の先生の反応は、私にとって少し意外なものだった。「お母さんが支援学級を選んでくれて、嬉しい。実は、どちらが良いか迷っていた」と、先生も正直にお気持ちを話して下さったのだ。
先生も迷っていた――それは、先生がこちらの気持ちに寄り添ってくれていたということ。何人ものお子さんを見て来た先生であっても、一人ひとり答えは違うのかもしれない。子どもにとってどうするのが良いのか、先生がこんなにも一緒に悩んで下さっていたことに、先生への信頼の気持ちがさらに深まり、安心感に包まれた。

一つ答えを出したから、もう悩むことが完全になくなるわけじゃない。新しい場所でも、新たな悩みはきっと出てくるだろう。でも、前向きな気持ちがあれば大丈夫。またきっと、その問題にしっかり向き合える。
問いには、必ず正解不正解が用意されているわけではないと知った。それでも、納得して出した答えであれば、これからの私たちをきっと支えてくれる。
何より、これはゴールではなくて、私たち親子が新しい一歩を踏み出すスタートになるのだ。始まりであるなら、これからどこにでも、どのようにでも進んでいける。

著者紹介
名前
円野こいし
性別
年齢
昭和生まれ
出身
東京都
コメント
夫、小2の娘、年長の息子と熊谷に住んでいます。エッセイは初めてですが、子どもたちとの日常を綴っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
こいし

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