子どもたちが自由に使えるお金は、新年にもらったお年玉だけ。
それでも、買いたいものを厳選し、本当にたまにしか自分の買い物をしない娘は、どんどんと貯金が増えている。
正反対なのが息子。お金が手元にあると、すぐに使いたくなってしまう。
金額の大きなものを買いたがる。じっくり考えるのが苦手。そんな訳で、毎年、息子のお年玉はあっという間に消えてしまうのだ。
けれど、学用品や必要なものはきちんと親が買い、おもちゃなどはお誕生日やクリスマスに欲しいものがもらえるということもあって、これまではお小遣いがないことに不満は出ていなかった。
けれど、年齢が上がり、段々と興味が広がり、また、おもちゃやゲームの発売日など色々な情報も入ってきやすくなった今日この頃、「お年玉だけじゃ足りない!」「お小遣いが欲しい」「友達はもらっている」と、息子が声を上げた。
さあ、どうしよう――。
自分のことを振り返れば、息子の年齢の時には、すでにお小遣いをもらっていた。
そろそろその時期が来たのかもしれない。息子にお小遣いを渡すなら、お姉ちゃんである娘にも平等になるよう、渡したい。
でも、今の息子の様子を見ていると、お小遣いを計画的に使うのは難しそうだ。
もらったら、すぐにパッと使ってしまうだろう。娘はきっと使わずに、大事に貯めるに違いない。そんなお姉ちゃんを見て、先に使い切った息子は、「お姉ちゃんだけ、いっぱいお金を持っていて、ズルい」などと言って、怒るのだろう。そんな様子が、目に浮かぶ。
きょうだいでも、こんな風に性格が全然違う。
去年から二人はそれぞれゲーム機を持つようになったのだけれど、ゲームの世界でも、お金を貯め続ける娘と、アイテムをどんどん買いすぎてお金がなくなってしまう息子というように、現実の世界と一緒なのである。
ゲームの中でも、几帳面に物を整理する娘と、溢れたものに埋もれている息子。同じゲームをしていても、それぞれの性格がそのまま出ているのが面白い。
それはさておき、お小遣いがきょうだい喧嘩のきっかけになってしまうのは避けたい。金額についても、きょうだい間でどうしたらよいか悩むところ。
そこで、お小遣いをそのまますぐに渡すのではなくて、「目標を達成できたら、一定の金額を渡す」ということを提案した。
二人にそれぞれの頑張りたいことを目標としていくつか設定し、毎日取り組む。取り組むといっても、難しいことではなくて、「宿題を丁寧にする」「出したものを片付ける」など、日々の生活の中で、ちょっと頑張ればできそうなこと。
それが全部クリアできれば、十円のお小遣いになる。その他に、お手伝いができれば、もう十円。
お手伝いや宿題にお金を渡すというのは、賛否あるかもしれない。本来そういうことは、お金をもらうためにする事ではないと思う。
けれど、今の子どもたちの状況や様子を考えると、お小遣いだけが目的になるのではなく、苦手なことを頑張るモチベーションにつながって、親子が互いに気持ちよく過ごせるのではないかと考えた。
「あれしなさい」「これしなさい」と口うるさく言うのは、こちらも疲れるし、子どもたちだって嫌だと思う。
もしこの方法がうまくいかなかったら、その時はまたやり方を変えてみれば良い。
子どもたちも、自分たちなりに考えたようで、毎日二十円ずつ受けとるのではなく、一ヶ月分を月末にまとめて受け取りたいと希望している。その方がすぐに使ってしまうことも防げるし、もらった時に喜びも大きいのかもしれない。
今のところは順調で、目標が達成できた日はカレンダーに印を付け、それを子どもたちが嬉しそうに数えている。
お小遣い問題だけでなく、これからもどうしたら良いか、親子の間で考えなければならない問題が出てくると思う。そんな時は、一方的にきまりや解決策を決めてしまうのではなくて、親子で一緒に良い方法を考えていく。そのようにできるくらい、子どもたちも成長していることを、嬉しく感じた出来事だった。
著者紹介
- 名前
- 円野こいし
- 性別
- 女
- 年齢
- 昭和生まれ
- 出身
- 東京都
- コメント
- 夫、小2の娘、年長の息子と熊谷に住んでいます。エッセイは初めてですが、子どもたちとの日常を綴っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。