すっかりエッセイをサボっていましたが、サボっている間に息子は『胃ろう』という胃から直にご飯が食べられる(ぺースト状のご飯が入れられる)口のような入り口を造る手術をしました。
今はお腹に胃ろうボタン(胃に繋がってる)というものが付いているので、今までお鼻から出ていた長いチューブはなくなり、お鼻スッキリです!
お鼻チューブがなくなって生活していると気づいたことがあります。
お散歩中に通りすがる子ども達に『鼻についてるのなぁに?』と質問されたり、お買い物中に子どもがお母さんに『ママ、あの子鼻になんかついてる・・・』と報告し何度も息子の様子を見に来て、しまいにはお母さんに「こっち来なさい!」と怒られる。というような事がなくなりました。
鼻から何か出てるって見た目にかなりの違和感があるみたいですね。
確かに、もしも街で素敵な男性の鼻から長いチューブが出ていてそこからコーヒーでも注入していたら気になって見るだろうし、「うちの息子と一緒ですね♡」と話しかけてしまうかもしれません。
(これ、場所が病院だと大して気にならなかったりするんですよね。意識の問題でしょうか・・・不思議。)
息子はいま年長さんで、療育が受けられる児童発達支援施設ポプラという場所に親子で通っています。保育園や幼稚園と同じように、運動(体操)、お歌、お散歩、絵本の読み聞かせやお絵かきなどしています。
そして新型コロナウイルスが登場する以前は、その療育施設に通いながら、近くにある保育園とお互いのお庭やお散歩で交流したり、イベントを見学させてもらったりしていました。
息子が鼻チューブをつけ始めた当時、元気いっぱいな保育園の子どもたちに取り囲まれ、鼻チューブを指差し『それなぁに??いたい??おえー!』と質問ぜめにあっていました。
療育の先生や私が「ここからお水飲んだりご飯食べたりするんだよ。」と話すと、素直に『へー!!』と納得する子。不思議そうな顔をする子。ちょっと心配そうに離れて息子を見つめる子。チューブやバギーに触りたくてウズウズしている子。子どもたちの様々な反応が見れてとても面白いです。
当の息子も囲まれてビックリするものの、たくさんのお友達の声を聞きながら話しかけられた言葉の意味を考えている様子。その場では刺激が強すぎて意識を失いそうになりますが、家に帰ると昼間出会った保育園のお友達のことを思い出しているのか、マネしているのか『うきゃぁ!んがぁぁぁー!!』と大きな声を出してご機嫌に笑ったりしていました。
ある時いつものように、『それなぁに?』と保育園児に聞かれていると、一人の男の子がやって来て『俺知ってる。水とかお茶入れるんだ。』とさらっとそのお友達に教えていました。驚きと関心の瞬間でした。
家族や知り合いに鼻チューブを付けている人がいるのか、親御さんが医療関係の仕事をしているのか、テレビで見たのか、なぜ知っているのかわかりませんが、私はその出来事を思い出してはとても救われた気持ちになります。
多くの人が彼のように「医療的ケア」という言葉ではなくとも、そのようなケアをしながら生活している人や子どもがいる。ということを自然に知っている人が増えれば世の中は変わるかもしれないな・・・と思いました。
私自身は何百回と『それなぁに?』と質問されても、「ここから牛乳飲むんだよー。」「りんごジュース飲むんだよー。」「ご飯食べるんだよー。」と返事することを楽しんでいましたが、中には気にしてしまったり、心を痛めてしまう親御さんもいるかもしれません。
そんな鼻チューブを介した園児たちとのやり取りも初めのうちだけで、慣れてくるとただ捕まえた虫や拾った木の実を見せに来たり、息子がむせ込んでいると『大丈夫?お水飲んだら。』と心配してくれるようになったりと自然なものになりました。
しかし、昨年度はそんな楽しい交流も実体の分からぬウイルスにより1年間中止となり、息子も私も寂しかったです。(正しい判断なので仕方ないですが。)
そして今年度、感染に気をつけた十分すぎる距離をとっての交流を再開してみたところ、案の定息子は遠くに聞こえるたくさんのお友達の賑やかな声や気配に喜び、また家に帰って思い出しては嬉しそうな声を上げています。
まだまだウイルスを恐れつつの日々ではありますが、状況に応じた感染対策を考えて楽しめることは楽しんでいけたら良いなぁと思います。
お知らせ:前回の家庭菜園についてのエッセイを編集し直して動画にしてもらいました。興味のある方はどうぞ(^^)
https://www.youtube.com/watch?v=261FX9dMoNo&t=84s「胃ろう」ってどうゆうものか気になる方はこちらをどうぞ(^^)
https://www.youtube.com/watch?v=weeK-uHPhYs
著者紹介
- 名前
- inoinoart
- 性別
- 女
- 年齢
- ホームアローンのケビンと一緒
- 出身
- 江戸っ子
- コメント
- 熊谷と深谷を行ったり来たり。難病っ子の息子を育てながらアート活動とアウトドアに勤しむ。エッセイも楽しみたいと思います!
- https://www.instagram.com/inoinoart/