オーナーの富岡さんは、前職の自動車会社勤務の傍らコーヒーを極め、コーヒー豆の品質を評価する国際審査会の審査員としてご活躍の場を広げ、2008年にスペシャルティコーヒー豆販売の専門店として「マグノリア コーヒー ロースターズ/Magnolia Coffee Roasters」を太田市に開業されました。
コーヒー豆の原産国まで出向き、自ら品質を確かめ、現地の生産者さんと私たち消費者をつないでくださっています。
そんな富岡さんにコーヒー店をオープンされた経緯とコーヒーに対する思いを伺ってきました。
マグノリアコーヒー開業の経緯
ライターゆる
「7月に新しい店舗をオープンされたという事でおめでとうございます。今、コロナという状況もあって、オープンに関しては順調だったのでしょうか。」
富岡さん
「ありがとうございます。建築に関してはだいぶ遅れました。こういったユニークな建物というのもあって、予想し得ないことが色々起きたりして。でも最終的にはきちっとしたものが出来上がったという感じですね。」
ライターゆる
「特徴的な建物ですよね。思い入れも強かったのではないでしょうか。」
富岡さん
「そうですね。僕の年齢からして、もうすぐ55才ということで、大きな借金をして何かをするというのも最後になると思うので、中途半端にやるのではなくて、どうせやるならぎりぎりまで、きちっとしたものをやりたいという思いでやりました。」
ライターゆる
「コーヒー店を開業される前は別のお仕事をされていたんですよね。」
富岡さん
「はい。10年ほど、スバルテクニカインターナショナルという、スバルのなかでもモータースポーツを専業としている所で働いていました。」
ライターゆる
「モータースポーツですか。今のイメージとは全くちがいますね。全く違う分野から、コーヒーに心が向いたきっかけというのはあったでのですか?」
富岡さん
「コーヒーに関しては学生の頃から好きで、趣味で喫茶店へ飲みに行ったりとか、そういう事はしょっちゅうしていました。それで、サラリーマンをやりながら、本当にこのままでいいのか、自分で独立してやってみたいという気持ちの中で、何をやればいいのかといったときに、自動車会社を作るというのはなかなか敷居が高いし、コーヒーだったらどうかなと思ったんです。でも実際、コーヒーもはじめてみると簡単でないというか、相当勉強していかないといいところには行けないというのを感じました。」
ライターゆる
「前職をやりながらコーヒーのお勉強をされていたんですか。」
富岡さん
「そうですね。開業するまで3年くらいはサラリーマンをやりながら自分の時間を使って勉強していました。」
ライターゆる
「すごいです。お勉強に3年、コーヒーの奥深さを感じます。それからコーヒー店を開業されて、この度新しく今の場所に移転されたという事ですが、移転されるにあたってはきっかけなどあったのですか。」
富岡さん
「前のお店は10年ほどやらせていただいて、そろそろ場所を移したいなと思っていた所に、ここの地主さんに声をかけてもらったんです。今の場所は僕の生まれ育った場所で、地主さんは同級生なんですけど、この辺は太田でも古くていいところなんです。近くに北関東でも有名な呑龍様があったり、そこの川沿いがずっと桜並木で、4月には桜がすごくいいんです。なので、こういうコーヒーのビジネスをやらせていただくにはすごくいい場所かなと。」
ライターゆる
「確かに、初めて伺ったときに、川と桜並木とこちらのテラスの相性がすごくいいなと思って。特に桜の時期など、コーヒーを片手に集う人々の風景が目に浮かぶ素敵な場所だなと感じました。ご自身ではどのような場所にしていきたいといった展望などございますか。」
富岡さん
「以前のお店はもちろん一般のお客様にもたくさん来ていただいたんですけれども、どちらかというと卸といいますか、東京のレストランさんとかに対する商売が比率としては大きかったんです。それはもちろん継続してやるんですが、一般の方、ご家庭でコーヒーを飲む方に対してホームコーヒーロースターとして、その人のお付きのコーヒー屋さん、マメ屋という事でやって行けたらなというのがこのお店の主旨です。」
ライターゆる
「ホームコーヒーロースターという言葉、しっくりきました。こちらに伺ったとき、いわゆるカフェにコーヒーを飲みに来るというよりは、自分の生活に日常的に取り入れるものを買いにくる場所という印象を受けまして、どちらかというと薬屋さんのような感じというか。」
富岡さん
「おっしゃる通りで、客席というか、お客さんの入れる店内の場所はこの18角形の建物の3分の1あるかないかくらいで、豆を買うには十分なんですけど、喫茶として相当せまいんですよね。うちの場合は外のひさしが建物の特徴で、すごく深く低く出しているんです。そうする事で雨が降っていてもぬれる事もないですし、ひさしの下を有効に使う事によってアウトドアでコーヒーを飲んでいただくという空間になっています。」
ライターゆる
「とても素敵なつくりだなと思いました」
コーヒー豆について
ライターゆる
「先日購入したコーヒーの袋をおうちであけて、豆の粒が大きい事にびっくりしました。それから豆の色がなじみのある濃い茶色からすると薄めで、見た目からも豆の違いを感じました。一口目おいしいのはもちろんなのですが、今まではさめてくると惰性で飲んでいるような感覚もあったのが、こちらはまたおいしく感じられて、新しいコーヒー体験が出来たような感じです。」
富岡さん
「そうですか。焙煎をあまり深くしないのには理由があって、どんどん深くしていくと焦げに近づいていくんです。お料理とかでもそうですけど、基本的にはあまり焦がしてはいけなくて、焦げた味とか香りというのはそれ自体がものすごく強いんですよね。そうすると、コーヒーが持っている良い香りの成分とか、一番大事な個性が感じられなくなってしまうんです。なので、それを一番感じられる所でとめてあげて、僕の思う一番良い状態で提供しています。」
ライターゆる
「なるほど、コーヒーについてまだまだ知識不足ですが、お話を聞けば聞くほどおもしろいですね。本日はとても良いお話がきけました。貴重なお時間ありがとうございました。」
富岡さん
「ありがとうございました。」
撮影/柿沼博基
関連情報
マグノリア コーヒーロースターズ/Magnolia Coffee Roasters
- 住所
- 〒373-0056 群馬県太田市八幡町31−1
- 営業時間
- 10:30-18:30(火-土)
9:30-17:30(日)
定休日:月曜日
※coffee brew bar L.O. 各営業終了時刻の1時間前
- お問い合わせ
- 0276-60-5426