おりがみ忍者としてデビューするに至った経緯や、歴史、文化、世界との関わりなど、様々な視点でおりがみ忍者としての使命感に燃える、その活動や思いを伺ってきました。
おりがみ忍者ハッタリくん誕生の経緯
ライターゆる
「本日はどうぞよろしくお願いします。以前イベントでお見かけしてから気になっていました。おりがみ忍者ハッタリくんは何者なんだと。まずはどのように誕生したのか教えてください。」
ハッタさん
「小川町は、和紙の町ふるさととして1300年の歴史があると言われている町で、この時代に1000年を振り返れるってすごいなと思って。ぼくは有機農業のサポートをする縁でこちらの町に2011年の暮れに引っ越してきたんですが、デザインの仕事の一つとして小川和紙を使ったデザイン、すなわちおみやげになるようなものを自分で作ってみたいなという夢があったんです。それでずっと試行錯誤してずるずると形にならないまま、もんもんと考えていました。」
ライターゆる
「それはデザイナー魂みたいなものなんでしょうか。」
ハッタさん
「そうですね。小川町に暮らす中、身近にある小川町の和紙を使って自分に役立てる事がないかな、と思ったんです。デザイナーなんだから、その能力を使わないのは、もったいないなという気持ちがあって。小川町では七夕まつりっていう昔から続く大きなお祭りもあるのですが、そのときちょうどクリスマスが近くて、これはそのままオーナメントになりそうだなというアイディアが浮かび、実は、そのときにギックリ腰で動けないときで。腰が痛くて動けないから、手をごねごねと動かしていたんです。それじゃあこの和紙てサンタクロースをつくってはどうかと折りはじめました。でもなんかおもしろくないなと。既にあるものだし、なんとかならないかなと折り進めていたら、、、」
ライターゆる
「おー忍者になった。」
ハッタさん
「そうです。2018年の暮れに、忍者の原型が誕生しました。それでこれができたとき、ちょうど、次の年にワールドカップが来る、その次の年にはオリンピックが来ると。海外から4000万人のお客さんが来ると言われていました。海外の人たちに小川町のおみやげ手にとってもらえるといいな、という思いが当初からあったので、そう考えたときに、忍者で和紙で折り紙、まさにザ・ニッポン!絶対イケル!と思いました。」
ライターゆる
「確かに、すごく日本的で海外の方に興味をもってもらえそうですね。」
ハッタさん
「小川和紙は色のバリエーションもゆたかで、世界的なイベントを前に多様性の表現も出来るなと思いました。さらに折り紙と言えば小さいときに折った事のあるかぶとや手裏剣もある。忍者にかかぶとをかぶせたり、手裏剣を投げて忍者に当てて遊ぶゲームなんかも出来るぞ、などなどアイデアがいろいろふくらんでいききました。」
ライターゆる
「確かに、かぶとや手裏剣なら私も折ったことがあります。簡単にできますね!」
ハッタさん
「今遊びといったらスマホや携帯ゲームじゃないですか。たまにおじいちゃんちに遊びに行っても子供だけがゲームをして世代間を越えて出来る遊びをしていない。折り紙を折って、手裏剣を投げて、忍者にあてるゲームなら、単純で、海外の人にも理解してもらえるし、親も子も、身体のハンディギャップも関係なく遊べる。お店で買わなくても、お金がなくても、そこに何枚かの紙さえあれば、誰でもが参加できる。
伝統的に昔から続く和紙はWASHI、折り紙はORIGAMI、忍者はNINJAとして、すでに世界に広がっている日本の文化だし、手裏剣を投げて相手の忍者を倒すというシンプルなバトルゲームの要素もある。
そういった要素を組み合わせてイメージを膨らませると、おりがみ忍者はORIGAMI NINJAとして世界中に広がり、そして次の1000年につないでいけるワールドワイドなゲームになる可能性があるんじゃないか、そう確信しています。」
ライターゆる
「世界や1000年先を見据えた大きなお話になって来ましたね!」
ハッタさん
「これは一生かけてもいい仕事だと思い、世界戦略的にやっていこうと思いました。これをどう広めたら良いかと考えたときに、自分が忍者になるしかないと思いました。ぼくのおばあちゃんちは富山で、藤子不二雄さんの出身地なんですね。忍者と言えばハットリくんなんです。そこで、自分の名前はハッタなので、ハットリとはった、これは良いと思い、おりがみ忍者ハッタリくんが誕生しました。」
ライターゆる
「ついに忍者に!」
ハッタさん
「そのときちょうど50歳で、自分の人生をどう生かすか真剣に考えないと、あっという間に過ぎてしまうなと考えて、それもあっておりがみ忍者としてデビューしようと。これからの環境のためとか、子供たちのためとか、いろいろ考えると、自分自身がヒーローになるしかないという選択にたどり着きました。50歳すぎて忍者になる奴なんかいないよと思うんだけど(笑)。現在、おりがみ忍者ハッタリくんとしてヒーローの修行中です。」
ライターゆる
「人生をかけて達成したい事を見つけるってすごい事だなと思います。」
ハッタさん
「小川町の和紙をきっかけに、歴史の深堀が出来るようになりました。田舎と都会の違いって、歴史がある事だと思います。都会の歴史ってせいぜい江戸くらいかなと思う一方で、地方では平安、もしかしたら縄文までさかのぼる事ができると。歴史に視点を向けるという事が地域のダイナミックな面白さなんだと感じています。」
ライターゆる
「確かに、小川町に限らず、それぞれの地域に面白さが眠っているような気がしてきました。」
ハッタさん
「よくロングライフデザインっていうけど、ロングライフって過去どれくらい、未来に対してどれくらいの尺度を持つのかということが出てきます。古くから農村に伝わるものとか、そういったものを地域から掘り出していくと地域に深みが出てくると思うんです。こどもたちが地元愛を育むということにもつながると思います。
今残っている1000年前のものといったら平等院ですよ。そういうものが今の時代にどれくらい生み出されているでしょうか。この先1000年先に何が残るかという事を見据えた事を考えています。
折り紙もシンプルだから良くて、今ネットなんか見てもめちゃくちゃ複雑な、つくるのに2日かかりました、みたいなのも折り紙もでてきますが、これはそうではなくて簡単な誰にでも折れるものなんです。」
ライターゆる
「確かに、次の人に伝えて残していくためには簡単である事は大切な要素ですね。」
おりがみ忍者ハッタリくんとしての活躍
ライターゆる
「具体的にはどのような活動をされているんですか。」
ハッタさん
「2019年は、2015年4月ににおきたネパール地震の支援プロジェクトをしている友人の誘いで、ネパールの被災地にでかけ、そこの小学校で、おりがみ忍者としてこどもたちに折り紙教室を開催しました。」
ライターゆる
「すごい。それは喜ばれますね。現地のこどもたちは忍者が本当にいると思っちゃいますよね。」
ハッタさん
「そうですね。Ninja! Ninja!と喜んでもらいました。海外の方たちは僕を日本人というよりは日本から来た忍者として見てくれるので、そういうのも面白いなと思いました。
近々ではトルコのシリア難民のこどもたちへの教育支援プロジェクトで折り紙をやっているというので教えに行く話もいただきましたが。このコロナで行けていないのが、残念ですね。」
ライターゆる
「素敵な活動ですね。この活動が広がって、世界中のこどもたちがおりがみで遊ぶ風景が目に浮かびます。」
ハッタさん
「がんばりたいですね。」
ライターゆる
「これからのご活躍も本当にたのしみです。千年を見据えた時間軸、グローバルな視点と、大変お勉強になりました。本日は貴重なお時間ありがとうございました。」
関連情報
有機野菜食堂わらしべ
- 営業時間
- 11:00~20:30
定休日:月曜日・火曜日
- 住所
- 〒355-0321 埼玉県比企郡小川町小川197−4
- @warashibe1119