いよいよ30歳が近くなってきたたくあんは焦っていた。心なしか息切れしやすくなった身体。運動してももとに戻らない体型。どんどんコンサバティブになる精神。かつて苦手だと思っていた『親父』にたくあん自身もなろうとしている。
友人はもう受け入れているようで、『おじさん』呼ばわりする20代に抗う。
やり残したことはいっぱいあるのだ。
硬派な生き方をした青春時代に喝を入れたいのに、入れてものれんか豆腐か馬の耳か。
制服ディズニーしたい。
ジャニーズに入りたい。
渋谷でスカウトされたいし、学ランを着崩して、ケンカに明け暮れたい。メガネをかけた静かな文学少女と河川敷でデートもしたいし、SLAMDUNKみたいな部活も真剣にやりたい。
誰か誘ってよ。
友人はもう受け入れているようで、『おじさん』呼ばわりする20代に抗う。
やり残したことはいっぱいあるのだ。
硬派な生き方をした青春時代に喝を入れたいのに、入れてものれんか豆腐か馬の耳か。
制服ディズニーしたい。
ジャニーズに入りたい。
渋谷でスカウトされたいし、学ランを着崩して、ケンカに明け暮れたい。メガネをかけた静かな文学少女と河川敷でデートもしたいし、SLAMDUNKみたいな部活も真剣にやりたい。
誰か誘ってよ。
ベネッセの漫画を開くと、やり残したことが次から次へと思いだしてしまう。
学生服はこの時期に着るから、感慨深いのだ。
大人になって着てもたいてい『コスプレ』なのだ。
『コスプレ』じゃないんだよ。私がやりたいのは。
戻らない青春時代とはいえ、なにも動かなければ、本当に戻らない。たくあんは諦めないのだ。
制服を着たければ俳優になればいい。
だから参加した芸能活動。
俳優、声優、作家、歌手、腹話術師、なにか当たればいい、本職からは怒られそうな理由だけれど、それでも取り戻したい過去にたどりつくために。
クセが強い強いと言われて、褒められているのか貶されているのかわからない世界で、たくあんは失ったものを取り戻す旅に出た。
著者紹介
- 名前
- たくあん
- コメント
- アラサーだけど自覚したくない大きな男の子。
人生一度きり、やりたいことを極めようと、仕事の合間に物書き、腹話術をやっています。
長編、作るぞ〜!